壱岐の今年の夏は、例年にくらべ雨がよく降りました。猛暑でもなかったため、例年のような高水温(28℃~30℃超)もほとんどなく、貝にとっては気持ちよい水温が続いています。
また大きな川のない半城湾では雨のおかげで大事な栄養分が増え、貝は順調に成長しています。
いよいよ今回は、真珠の核入れについて迫っていきたいと思います。
核入れとは
真珠の養殖に初めて成功してからおよそ120年。その方法は現在でもほとんど変わっていません。
真珠の養殖に必要なのは「核」と呼ばれる貝を丸く加工したものと、ピースと呼ばれる貝の外套膜の細胞片です。
この二つをアコヤ貝の生殖巣に入れることで貝の中で真珠の基となる成分が分泌され、真珠が作られるのです。
このような いわば生体間移植の技術がすでに120年前に確立されていたというのは驚きです。
核入れの道具
貝の体の中に別の貝の細胞を移植します
2種類の貝
ピースと呼ばれる貝の中に入れる細胞片は外套膜といって貝殻を形成していく役割の部分の細胞を使います。この部分が真珠の色や輝きに大きく影響するためとても大切なポイントです。上村真珠ではこのピース専用に貝作りをしているので輝きのある真珠を作ることができるのです。
一方 細胞片と核を入れられる方の貝は厚みがあり、体力のある貝を使います。この貝次第で「巻き」が違ってきます。上村真珠ではこの2種類の貝を独自に開発しているため美しい真珠を作り続けることができるのです。
ピース用(細胞片)の貝(左)
母貝用(核を入れられる方)の貝(右)
ピース(細胞片)を切り取っているところ
核入れ作業
核入れ作業は真珠作りの中ではとても大切な作業の一つです。
まずメスで貝の体の一部を切り、ピースと呼ばれる細胞片と核を入れます。この細胞片と核がしっかり密着していないと真珠になることができません。すばやく正確に作業を進めることがとても大切なポイントとなります。核入れ次第で真珠の出来具合も大きく変わってくるので常に気を張って作業しています。
次回は、核入れ後の作業をご紹介いたします。